食農食農科学研究科の岡田圭史さん(修士2年生)と吉永和明准教授らの研究グループは、油脂の精製工程時に生成する3-モノクロロプロパン-1,2-ジオールエステル(3-MCPDエステル)およびグリシジルエステル(GE)に対し、油脂の脂肪酸組成がどのように影響するかを初めて体系的に明らかにしました。
本研究成果は、国際学術誌 LWT(Elsevier)に掲載されました。
K. Okada, A. Yoshinaga-Kiriake, S. Suzuki, Y. Suganuma, S. Tanaka, N. Gotoh, K. Yoshinaga.
Effects of fatty acids found in diacylglycerols and monoacylglycerols on the formation of 3-monochloropropane-1,2-diol esters and glycidyl esters during heating.
LWT 235 (2025) 118642.
3-MCPDエステルおよびGEは、食用油の精製過程で生成する汚染物質であり、体内で加水分解されると3-MCPDおよびグリシドールを放出します。これらの化合物は、国際がん研究機関(IARC)により、3-MCPDは「ヒトに対して発がんの可能性がある(Group 2B)」、グリシドールは「おそらく発がん性がある(Group 2A)」と分類されています。本研究により、食用油精製中における3-MCPDエステルおよびGE生成の分子機構が明確化され、「不飽和脂肪酸から構成されるジグリセリド量の抑制」および「塩化物源の低減」が有効な生成抑制策であることが実証されました。この成果は、食用油の安全性向上および食品加工工程の最適化に向けた科学的根拠を提供するものであり、食品科学・油化学・食品安全分野に大きな貢献を果たす研究成果です。