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福島大学

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福島大学農学群食農学類2019年4月開設

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[報告]クマの体毛からストレスと食性履歴を可視化 望月准教授

クマの体毛からストレスと食性履歴を可視化

― 食農学類・望月翔太教授が新たな野生動物管理指標を提案 ―

福島大学食農学類の望月翔太教授は、クマの体毛を用いてストレス状態および食性履歴を時間軸に沿って解析する研究成果を報告しました。本研究は、野生動物の行動特性を科学的に把握し、適切な管理手法の構築につなげる新たな指標として期待されます。

本成果は、2026年3月17日に福島県福島市で開催された鳥獣被害対策講座において発表されました。研究では、複数の野生ツキノワグマの体毛を採取し、細断後に成分分析を実施しています。

ストレス評価には、宇宙飛行士の毛髪分析などにも用いられる「イメージング質量分析」を応用しました。その結果、事故に遭遇した個体では、一定期間にわたり慢性的な生理的ストレスが蓄積していることが示唆されました。このことから、餌資源の不足や人間との接触による心理的負荷が、行動異常に関与している可能性が考えられます。

また、GPSを用いた行動解析との比較から、行動範囲が広い個体ほどストレス負荷が高い傾向も確認されました。これは、餌の確保が困難で広範囲を移動している可能性を示唆するものです。

さらに、毛に含まれる炭素および窒素の安定同位体比を解析することで、食性履歴の推定も行いました。その結果、調査対象の個体の多くは主に野生植物を摂取しており、農作物への依存は限定的であることが明らかとなりました。

今後は、福島市が実施しているGPSによる行動追跡データと本研究のストレス評価を統合し、異常行動を示す個体の特徴や出没傾向の解明を進める予定です。これにより、人身被害リスクの低減に向けた科学的根拠に基づく対策の構築が期待されます。

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