カマンベールチーズは、乳酸菌と白カビの働きにより独自の風味が生まれるナチュラルチーズです。その製法には伝統製法とスタビライズ製法の2種類があり、それぞれ組織、風味に特徴をもつチーズが作られます。これまで、両製法による組織の違いなどの報告はありましたが、風味の形成機構の違いは明らかになっていませんでした。本研究では、2種類の製法で製造したカマンベールチーズを用い、熟成に伴う呈味成分の変化を分析し、風味形成機構の違いを評価しました。
異なる熟成日数のチーズの成分分析と官能評価を行った結果、伝統製法はスタビライズ製法に比べ、熟成中にグルタミン酸を多く産出し、よりうま味が強くなる特徴を確認しました。さらに、質量分析イメージングによる呈味成分分布を評価したところ、熟成に伴い、グルタミン酸は白カビが生育するチーズ表面付近から増加し、乳酸は表面付近から減少することが示され、これらの変化は伝統製法でより顕著であることが明らかとなりました。伝統製法とスタビライズ製法という異なる2つの製法が、風味形成に与える影響も明らかにしました。
得られた知見をもとに、今後さらなるチーズのおいしさのメカニズム解明や商品開発に活用してまいります。
